2014年12月8日月曜日

呪い・不幸を呼ぶ物『ホープダイヤ』

現在スミソニアン博物館のひとつである国立自然史博物館に所蔵されている45.50カラットのブルー・ダイヤモンド。紫外線を当てると、1分以上に渡って赤い燐光を発する。

ダイヤモンドに紫外線を当てると発光するのは珍しくないが(ダイヤモンドのうちおよそ1/3は紫外線を当てると発光する)、赤くしかも1分以上も光り続けるというのは極めて珍しく、現在のところその原理は解明されていない。

青い色の原因は、不純物として含まれるホウ素が原因であることが解析の結果判明したが、ダイヤモンドが生成される地下深くでは、ホウ素はほとんど存在しないとされている。このため、「なぜダイヤモンドの生成時にホウ素が含まれたのか?」についても謎となっている。

いわゆる「呪い」の伝説では、上に注記した以外に次のような歴史が語られている。
?―ペルシア軍のインド侵攻の際ペルシアに渡り、軍の司令官が国王に献上する。
農夫はペルシア軍に殺害される
司令官は親族のミスが理由で処刑
国王は謀反で殺される
フランス時代
ルイ14世が宝石を入手した頃からフランスの衰退の一端の兆しが現れ始めた。ルイ14世以降のフランス経済は停滞し、フランス革命の原因となっている
ルイ15世は天然痘で死亡
ダイヤの持ち主となったルイ16世と王妃マリー・アントワネットは、そろってフランス革命で処刑された。ちなみにマリー・アントワネットの寵臣ランバル公妃は、このダイヤを度々借りていた。ランバル公妃は革命軍によって惨殺された
1792年の窃盗団は出所を不明にするためカッティングさせた後、アムステルダムの宝石店に売り飛ばす。
宝石商の息子がダイヤを横領し、宝石商はそのショックで死亡
盗んだ息子も自殺
ホープ家の手を離れたあとの所有者
ホープ家の崩壊後、フランス人の宝石ブローカーが購入するが発狂した挙句自殺
パリのレヴュー劇場の女優、ラドル嬢が買い取るが、舞台上で愛人(ロシア大公カニトウスキーとされる)に射殺され、その愛人も革命家に殺される。
オスマン帝国のスルタンに渡るが革命が起きて失脚
ギリシア人の宝石ブローカーに渡るが自動車事故で家族全員が死亡
これらの登場人物のうち、フランス王室の3人、ランバル公妃、オスマン帝国のスルタン、窃盗団以外の大部分が実在したという確実な根拠がない。
「呪い」の話は、1909年にロンドン・タイムズの6月25日号において、パリの通信員が「悲惨な最期を遂げた」とする架空の所有者を多数含んだ記事を寄せたのが最初であるとされる。
さらにこれらの伝説を拡大する役割を果たしたのが、フランシス・ホープと離婚したメイ・ヨーヘだった。彼女は離婚後の愛人と別離し、ダイヤを愛人に奪われたと主張したり、自分の不運がダイヤのせいだと決めつけた。(不思議なことに、その愛人と再びよりを戻して結婚、再度離婚した)2度目の離婚後、メイは「ダイヤモンドの謎」という15章からなる本を他の執筆者の助けを借りて書き上げ、その中にさらに架空の登場人物を加えたのである。ついには彼女は自分の書いた本をベースにした映画を作らせ、それにフランシス・ホープ夫人役で主演し、ここでも話の誇張と人物の追加をしている。メイは映画の宣伝と自分のイメージアップのためにホープダイヤの模造品を身につけていた。
また、マクリーンはエカチェリーナ2世などの所有者を加えて話を脚色していたという。